2022年12月24日更新

『ハウルの動く城』カカシのカブはなぜ呪われたのか?正体とサリマンの動機を解説

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ジブリ公式画像 ハウルの動く城

2004年に公開されたジブリ映画『ハウルの動く城』には、魅力的なキャラクターがたくさん登場します。そのなかでも謎が多く、驚きの正体を隠しているのがカカシのカブ。 カカシなのに英国紳士のような服を着ていますが、その服装は実は正体の伏線でした。 ここではそんな彼の活躍を振り返りながら、正体・魅力に迫っていきましょう。また原作設定や戦争との関係も解説していきます。 ※この記事には『ハウルの動く城』のネタバレがあります。未見の場合はご注意ください。

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『ハウルの動く城』カカシのカブの基本情報

『ハウルの動く城』
名前 カブ
素材 木の棒と野菜の蕪
正体 隣国の王子
声優 大泉洋

正体は呪われたイケメン王子

実はカブは、呪いによってカカシに変えられた隣国の王子でした。その呪いは愛する者のキスで解けるもの。カブはソフィーを愛していたため、彼女のキスで本来の姿に戻ったのでした。 しかし心が通じ合ったソフィーとハウルを見て、潔く身を引きます。王子として戦争を止めるため、本国へ帰っていきました。

カブの呪いにまつわるQ&A

呪いにまつわる3つの疑問
  1. カブに呪いをかけたのは誰?
  2. サリマンが戦争を起こしたのはなぜ?
  3. カブの恋はサリマンに仕組まれていた?

Q1:カブに呪いをかけたのは誰?

直接的には語られていませんが、王子に呪いをかけてカカシにしたのは魔法使いのサリマンだと考えられています。 原作でカカシに呪いをかけるのは凶悪な荒地の魔女ですが、映画では彼女ではありません。その証拠に荒地の魔女は王子に「国に戻って戦争をやめさせたほうが良い」と諭します。実際にカブは戦争を止めに本国へ帰りました。 映画での犯人はハウルの師匠サリマン。彼女が最初から戦争を狙って、隣国の王子に呪いをかけてカカシの姿にしたと考えられます。

Q2:サリマンがカブで戦争を起こしたのはなぜ?

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

サリマンはなぜ戦争を起こしたのでしょうか。それはサリマンがお気に入りの愛弟子ハウルを手元に呼び戻したいと思ったからだと考えられます。 実際ハウルは戦争のためにサリマンに召集され、参加を嫌がっていました。しかし断られても、サリマンはハウルに異常な執着を見せています。手下の顔をハウルそっくりにしたり、ヒンをスパイとして潜らせてきました。 しかしラスト、ハウルが戻ってくることはないと悟ったサリマンは、すべて諦め戦争もやめることに。カブが自国に戻ったこともその選択を後押ししたのかもしれません。

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Q3:カブの恋はサリマンに仕組まれていた?

カブがハウルと出会ったこと自体、偶然にしてはできすぎている状況に思えます。しかもカブは一瞬でソフィーに惚れ、優しく彼女を支え続けました。 これらからカブの恋は、サリマンがソフィーとハウルの関係を邪魔するために仕組んだのではないかと噂されているのです。 たしかに、サリマンがハウルを手に入れたくとも、ハウルはずっと昔助けてくれたソフィーをずっと待ち続けていました。サリマンが2人を引き離そうと作戦を打っていても不思議ではありません。 しかしカブが「カカシ」に変えられていること、またカブがソフィーを「城」まで案内したことを考えると、この説は間違っているように思えます。むしろカブは2人の仲を取り持っているようでした。

カブのイケメンシーン6選

仕組まれた恋でもなく、一目惚れから一途にソフィーを思い続けたカブ。実はイケメン王子だった正体も発覚した彼はもしかするとハウルよりイケメンかもしれません!? 以下にカブ王子のイケメンシーンをまとめてみました!

イケメン名シーン
  1. ソフィーに助けられて一目惚れ!?
  2. 杖とお城を用意してくれる
  3. 家事も手伝ってくれる
  4. 落ち込んでると傘をさしてくれる
  5. 体をはってハウルの城を守る
  6. 失恋してもソフィーに一途

①ソフィーに助けられて一目惚れ!?

カブの初登場は、老婆になってしまったソフィーがその魔法を解いてもらおうと、ハウルの城に向かっていたときでした。彼女は道すがら、草むらに刺さって動けなくなったカブを助けます。 彼はそのときソフィーのやさしさに打たれ、恋をしてしまったようなのです。

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②杖とお城を用意してくれる

『ハウルの動く城』カブ

おばあさんになってしまったソフィーは歩きにくかったため、枝を拾って杖にしようとしていました。それを見たカブは、柄に見事な鳥の細工が施された杖をどこからか持ってきて、彼女に渡します。 またこのとき「ついでに今夜のお宿も連れてきてくれるといいねえ」と言ったソフィーのために、カブはハウルの城を連れて来ました。 それ以降もカブは愛するソフィーを追って、ハウルの動く城を後ろから追いかけていきます。

③家事も手伝ってくれる

『ハウルの動く城』

最初は「変なのに好かれてしまった」と少し怪訝な表情だったソフィーですが、徐々にカブに親しみを感じていきます。 城が岸辺にたどり着いたある晴れた日に、ソフィーは洗濯をはじめました。するとカブは洗濯物を干した紐を木に結びつけて、ソフィーの手伝いをします。 ソフィーと仲良く作業ができて、その表情はどことなくうれしそうです。

④落ち込んでると傘をさしてくれる

ソフィーが浴室を掃除した結果、ハウルが浴室にかけた魔法が解けてしまい、入浴した彼の髪の色が変わってしまいました。そうしてハウルとケンカになったソフィーは、城を飛び出して行きます。 外は大雨。びしょ濡れになりながら涙を流すソフィーに、カブはそっと傘をさしかけます。好きな人と喧嘩したソフィーを慰めようとする姿がなんとも紳士的でした。

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⑤体をはってハウルの城を守る

物語終盤、ハウルとカルシファーの契約が解消されたことで、彼の城は崩壊をはじめます。滑り落ちるソフィーたちを、カブは体を張って受け止めました。 しかしそのせいで彼の体の芯である棒が削られ、大きなダメージを受けてしまいます。 身を削って助けてもらったソフィーは感謝のキス!カブはとうとう美しい正体を表したのです。

⑥失恋してもソフィーに一途

ソフィーがハウルを思っている様子を目にして、潔く身を引き本国へ帰ろうとするカブ。しかし去り際に「戦争が終わったら、また伺います」、「心変わりは人の世の常と申しますから」と言い残していくのです。 どうやらソフィーのことをまだ諦めていない様子。ハウルはたしかに危うい男ですからね、何があってもおかしくはありません。2人が別れなかったとしても、カブはこれから先も何かとソフィーを助けてくれる、頼もしい存在なのではないでしょうか。 ハウルと付き合って、カブと結婚したい……。あなたはどっち派ですか?

原作では荒地の魔女にバラバラにされていた

『ハウルの動く城』原作の児童小説『魔法使いハウルと火の悪魔』

映画『ハウルの動く城』の原作は、1986年に刊行されたイギリスの作家ダイアン・ウィン・ジョーンズによる児童小説『魔法使いハウルと火の悪魔』です。日本語版は1997年に発売されました。 原作は映画版とキャラクターの設定が違っている部分が多くあるので、紹介していきましょう。

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好みを追い求める、荒地の魔女が用意した「かかし」

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

映画では荒地の魔女はサリマンに魔力を奪われてしまいますが、原作ではいちばん強いのは荒地の魔女です。火の悪魔に操られた彼女は、複数の人間の体を切り貼りして自分好みの人間を作り出そうとしていました。 彼女が好みの人間を作るために使おうとしていたのは、「首のない体」と「犬」そして「かかし」。荒地の魔女はこの「首のない体」にハウルの頭をくっつけて、完璧に自分好みの男性を作り上げようとしていたのです。

バラバラになっている3体のキャラ「体、犬、かかし」

『ハウルの動く城』

火の悪魔に操られた荒地の魔女は、自分好みの人間を作るため3つの生き物「首なしの体・犬・かかし」に、2人のキャラクターをバラバラにして入れていました。 2人のキャラクターとは、魔法使いサリマンと王様の弟ジャスティンです。 サリマンは原作では男性で、王様の命令で荒地の魔女を始末しに行きそのまま行方不明になってしまいます。彼の胴体が「首無しの体」です。「犬」に入れられていた王様の弟ジャスティンも、サリマンを探しにいったまま行方不明になっていました。 そして「かかし」に入っていたのは「サリマンの心」でした。

ソフィーの命を吹き込む魔法

『ハウルの動く城』

本人に自覚はありませんが原作でのソフィーは魔法を使うことができました。言葉によって物に命を吹き込んだりする“言霊の魔法”の力を持っています。 原作では彼女はこの魔法によって、ただのかかしに無意識に命を吹き込んだのでした。そしてかかしは、彼女のあとを執拗についてくるようになります。 原作のかかしは呪いによって姿を変えられた王子ではないので、最後までかかしのままです。

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カカシのカブの声優は大泉洋

大泉洋(真戸呉緒/東京喰種)
©️ciatr

カブの声を担当したのは、人気俳優の大泉洋。「ハウル」が公開された2004年当時は、主に地元・北海道テレビの『水曜どうでしょう』などのバラエティ番組や、自身が学生時代に立ち上げた演劇ユニットTEAM NACKSの活動などで知られていました。 実は本作は、彼にとって3作目のジブリ作品への出演。それ以前には『千と千尋の神隠し』(2001年)で番台蛙役、『猫の恩返し』(2002年)で国語教師の役を担当しています。 本作以降にはテレビドラマ『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(2006年)や「ハケンの品格」シリーズ、映画『アイアムアヒーロー』(2016年)に出演するなど、その活躍は知ってのとおりです。

『ハウルの動く城』カカシのカブは一途なイケメン王子だった

ソフィーを一途に想いつづける『ハウルの動く城』のカカシ、カブ。愛する彼女を守るため、自らの命の危険も顧みずに行動した彼の正体は、呪いによって姿を変えられた隣国の王子でした。カブの行動は、奔放で、ときおり子供っぽさを見せるハウル以上に勇敢なものです。 一途で紳士なカカシ、カブの活躍に注目して本作をもう1度観てみるのもいいかもしれませんね!