2026年8月21日更新

『もののけ姫』こだまの正体を解説!やがてトトロになる精霊のモデルは屋久島にあり?

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『もののけ姫』こだまとは

『もののけ姫』

こだまは『もののけ姫』の世界における、木の精霊のような存在です。 真っ白な体に真っ黒な目と口。その不気味な見た目から、人間には物の怪の仲間のように受け取られることもあります。ただ実際のところ、こだまは人間たちに害をなさないとても優しい精霊です。 ちなみに、こだまたちは歳を重ねた樹木に宿るとされており、古い大樹が息づく森ほど数多く姿を見せます。

『もののけ姫』こだまの正体は?モデルは屋久島にあり?

こだまの正体は森の精霊?

『もののけ姫』

『もののけ姫』に登場するこだまは基本的にひらがなかカタカナで表記されていることが多いですが、漢字で表記すると「木霊」。文字通り、木に宿っている精霊なのです。 本作の舞台となっているのは中世の日本。日本では古くから、樹木のような自然界に存在するものには神的な力が宿っているとする信仰がありました。実際に、古くから生えている樹木には木霊という名前の精霊(妖怪といえるかもしれませんが)が宿っておりその樹木を守っている、という言い伝えもあります。

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こだまは豊かな森に住んでいる?

『もののけ姫』

故郷を離れて初めてこだまを見たアシタカは「ここにもこだまがいるのか?」と口にします。この反応からすると、こだまは人間の身近なところにも数多く住んでいるのでしょう。トトロのように子どもにしか見えない存在でもなさそうです。 アシタカはさらに「好きにさせておけば悪さはしない。森が豊かなしるしだ」とも語ります。ここから読み取れるのは、彼らが豊かな森にしか棲まないということ。悪さはしないという言葉からは、人間と戦ったり敵対したりする存在ではないとも受け取れます。

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こだまは屋久島に実在する!?

シシ神の森が屋久島の森をモデルにしているのは有名な話です。なかでもよく知られているのが、島の北部に広がる白谷雲水峡の「苔むす森」。かつては「もののけ姫の森」と書かれた看板が立っていましたが、2008年に撤去され、現在は「苔むす森」の名で案内されています。 一面を苔が覆う幻想的なこの森は、まさにこだまが顔を出しそうな空気をまとっています。ここで写真を撮ると白く小さな「なにか」が写り込む、という噂も語り継がれてきました。 南西諸島には、樹木に宿る精霊の言い伝えが各地に残っています。よく知られているのが沖縄のキジムナーです。ガジュマルの古木に棲むとされる子どもの姿の精霊で、住みかの木を傷つけないかぎり人間に害を及ぼさないと伝えられています。木に宿り、人と一定の距離を保ちながら共に在る——そのありようは、こだまと重なる部分がありそうですね。 こだまの正体は樹木に宿る精霊ということで間違いなさそうですが、モデルとなった屋久島の森や、その周辺に根づく精霊・妖怪の伝承から着想を得ているのでしょう。

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『もののけ姫』こだまはトトロになる?

となりのトトロ

実は宮崎駿監督は、『もののけ姫』の森にトトロがいないことを気に病んでいました。制作現場に密着した書籍『「もののけ姫」はこうして生まれた。』(浦谷年良著/徳間書店)には、こんな発言が記録されています。 「俺、気に病んでることが一つあるんですよ。トトロは何千年も生きているというのに、トトロが出てないじゃない、この森に」 そこで監督が持ち出したのが、ラストシーンに一匹だけ登場するこだまでした。同書に収められた1996年12月19日の発言がこちらです。 「これはもう、二木さんのたっての希望で、チビで一匹でいいから、コダマがノコノコ歩いてるやつ、最後にいれてくれって。それがトトロに変化したって(笑)。耳が生えてたっていうの、どうですかね。そうすると首尾一貫するんだけど」 ここでいう「二木さん」とは、原画を担当した二木真希子のこと。ラストに一匹のこだまを残してほしいという二木の希望へ、宮崎監督が「これがのちのトトロだ」という解釈を重ねたというわけです。 年代を並べてみると、この裏設定は意外と筋が通ります。『となりのトトロ』の初期設定では、大トトロが1302歳、中トトロが679歳、小トトロが109歳とされていました。一方『もののけ姫』の舞台は中世の日本で、現代からおよそ500〜700年前。姿の似た小トトロへと育っていったと考えれば、うなずける話ではないでしょうか。

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『もののけ姫』こだまは人に好意的?

『もののけ姫』

こだまは人々に害を成そうとしないため、人間たちを好意的に捉えていると噂されています。作中では森で迷ってしまったアシタカたちを案内するような素振りを見せ、彼らとシシ神を引き合わせました。その結果としてアシタカ一行の健康状態が回復し、森からの脱出へ繋がることに。 このように、こだまは人間たちを心配するかのような優しさを見せています。ただ、これらの行動が意図的だったのかは定かではありません。「森にいる生き物全般に優しい」という捉え方もできるため、「人間だけが特別」とは言い切れないのが正直なところです。

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『もののけ姫』村の人間はこだまを恐れている?

『もののけ姫』

本作に登場する森の住民たちと人間は、あまり良い関係を築けていないようです。物語の終盤ではエボシたちがシシ神の首を狙い、そのエボシの腕をモロの君が噛み千切ってしまう。両者の間には、はっきりとした敵対関係があります。 アシタカがこだまを見たとき、一緒にいた甲六(タタラ場で働く牛飼いで、アシタカがタタラ場を訪れるきっかけとなった人物)は「こいつらがシシ神を呼ぶんだ」と恐れるように言いました。少し不気味な姿への恐れとも、木々の精霊である木霊に対する畏怖の気持ちとも考えられます。

『もののけ姫』こだまが首を振る理由は?カタカタという音の謎を考察!

もののけ姫

作中、いくつかのシーンでこだまがカタカタと音を立てて首を振っています。これはなぜなのでしょう?なにか特別な意味があるのでしょうか? 正確な理由は明らかになっていません。こだまについていくつかのことを語っている宮崎監督も、この習性については触れていないので、ネット上ではファンたちによってさまざまな憶測が飛び交っています。ここではそのうち2つの説について解説します。

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①会話説

ひとつは、首を振るときの音によって会話をしているのではないか?というものです。作中、デイダラボッチが登場するシーンで、彼らはいっせいにカタカタと音を鳴らします。もしかしたらこの時、互いにコミュニケーションを取っていたのではないか?という考えです。

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②呼吸説

もうひとつは、首を振ることで呼吸をしているのではないか?というものです。顔に開いている穴が気孔のような役割を果たしていて、首を振るときにそこから空気を入れ替えている、という考えで、木の精霊である彼らは植物と似た体の仕組みである、という予想に基づいています。 どちらも説得力がありますが、実際のところどうなのかは誰にもわかっていません。

『もののけ姫』こだまが死亡?最後のシーンが表すものとは

物語の終盤、破壊されていく森の中で、こだまたちの死体が大量に降ってくるシーンがあります。木々の精霊である彼らは、木が死んでしまうと生きていくことができないのでしょう。 おそろしく、厳かなこのシーンには、キャラクター化することで木々の命の重みをわかりやすくするという宮崎監督の意図がよく表れています。その後、荒廃しきった森に新芽が芽吹き、その中に一匹だけこだまがいる、というシーンで物語は終わります。 こだまが大量に死んでしまうシーンは、森が破壊されてしまったことの暗喩でした。ここで新たにこだまが姿を見せるということは、ここから森が再生していくことを表していると考えられます。 宮崎監督自身も、このラストシーンには気の遠くなるような歳月をかけて森が再生していくという意味を込めたと語っています。荒廃した情景だけで終わらせず、一匹のこだまを残したところに、監督なりの希望の置きかたが表れているのではないでしょうか。

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『もののけ姫』こだまのデザインの裏話

『もののけ姫』

こだまの姿は特定の妖怪や生きものを写し取ったわけではなく、スタジオジブリのスタッフが独自に生み出したものです。 ラストシーンに一匹のこだまを残すよう望んだ原画の二木真希子をはじめ、制作陣のなかには森に「なにか」の気配を感じ取る感性を持った人がいたのでしょう。シシ神の森のモデルとなった屋久島の森で写真を撮ると白い「なにか」が写り込む、という噂が語り継がれてきたことも、その感覚と地続きなのかもしれません。 木々に宿る生命の重みをわかりやすく伝えるために、宮崎監督はこだまというキャラクターを登場させたのだといいます。

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こだまの考察前に『もののけ姫』のテーマを振り返る

『もののけ姫』

こだまの謎について考察する前に、まずは『もののけ姫』のテーマをおさらいしましょう。この作品の大きなテーマは「人間と自然の対立」です。 エボシをはじめとするタタラ場の住民たちは、自分たちがより豊かになるために森を破壊しようとしています。それに対して怒っているのが、シシ神たちをはじめとする森の神々、そして彼らのもとで暮らすサンです。 タタラ場の住民たちとサンたち自然の側の両方を理解しているアシタカは、自然と人間とがどうにかして共に生きられないかと悩みますが、両者はついに戦いを始めてしまうのです。 サンが暮らす森には、シシ神以外にも不思議な生き物が住んでいます。人の言葉を話す山犬たちや、猩々(しょうじょう)と呼ばれる、赤く光る眼を持った猿たち。こだまもそんな、不思議な生き物の一つです。彼らは皆、神々や精霊のような、森をつかさどり守っている者たちだと考えられます。

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こだま=自然そのもの(物語のテーマ性を象徴する存在)

『もののけ姫』

可愛らしくもあり不気味でもある、不思議な存在・こだま。シシ神やモロと違い、言葉を話すことのできない、植物によく似た妖精のような存在です。 その可愛らしさと不気味さは、人間が自然に対して抱く安心感、あるいは恐怖心を象徴するものなのかもしれません。