2021年7月24日更新

『もののけ姫』サンを育てた山犬・モロの君について徹底解説!モデルとなった神様は?

もののけ姫

ジブリ映画『もののけ姫』に登場する犬神・モロの君。「黙れ小僧!お前にサンが救えるか?」という名言で知られるモロの君は、実子であるモロの子たちと一緒にサンを育てた慈悲深い山犬です。この記事では、モロの君の基本情報やモデルについて解説していきます。

『もののけ姫』モロの君について解説!サンや実子を想う優しい母山犬

1997年に公開されたアニメ映画『もののけ姫』は、宮崎駿が監督を務めたスタジオジブリの作品です。人間と自然の関わり方が重要なテーマのひとつであるこの映画には、さまざまな姿の神様が登場します なかでも犬神であるモロの君は、アシタカに放った「黙れ小僧!」という名セリフで強烈な印象を残しました。一見過激に思えるモロの君ですが、実はヒロインのサンや自分の子どもたちの将来を想う優しい母でもあるのです。 この記事では、そんなモロの君について徹底解説!ほかのキャラクターとの関係や、モデルとなった神のつかいも紹介していきます。

※この記事には一部『もののけ姫』のネタバレが含まれます。未鑑賞の人は注意して読み進めてください。

シシガミの森を守る神様!モロの君について基本情報を紹介

『もののけ姫』
性別 女性
年齢 300歳
声優 美輪明宏

モロの君はシシガミの森を守る神様で、劇中では「モロ」と呼ばれています。 特徴は全身をおおう白い毛と、しっぽが2本あること。サンから「母さん」と呼ばれているため、メスと考えられます。巨大な体は5メートルほどと予想され、立ち上がったときの高さは大人の人間をはるかに上回るほどです。 モロは人間たちの罠を見破るなど高度な知能を持っており、人間やほかの動物と意思疎通ができます。 強そうな見た目に反して、性格は思慮深く穏やか。相手が間違っているとわかっていても、自分の意見を押し付けない広い心の持ち主です。森を奪う人間を嫌悪しつつも、見境なく人間を襲うようなことはしません。 モロはかなりの高齢で死が近いことを悟っており、死を受け入れる諦めの境地に達しています。しかし死ぬ前に、宿敵であるエボシ御前に一矢を報いようとする希望を捨てていません。

人間の少女・サンとの関係は?山犬でも人間でもない娘の姿に葛藤

『もののけ姫』

『もののけ姫』のヒロインである人間の少女・サンは、モロの君によって育てられました。 モロの言葉によればサンは「森を侵した人間が、我が牙を逃れるために投げてよこした赤子」です。森に入ってモロに遭遇した人間がその巨大な体に恐れをなして、生贄として捧げた赤ん坊がサンだったと考えられます。 サンを自分の娘として育ててきたたモロですが、サンが山犬でもなく人間でもない存在であることに苦悩している様子。 アシタカには「サンは我が一族の娘、森と生き、森が死ぬときはともに亡びる」と断言するモロ。しかしサンには、「あの若者(アシタカ)と生きる道もあるのだが」と漏らすあたりに、彼女が抱えているジレンマが感じられました。

実の子どもであるモロの子たち!ヤックルとの仲睦まじい様子がかわいい

『もののけ姫』

モロには子どもが2頭います。劇中において名前で呼ばれることは一切ないため、名前はわかりません。 体の大きさはモロよりひと回り小さいですが、サンやアシタカを乗せて走り回っているため、普通のオオカミとは比べられないほどの大きさです。 毛の色はモロと同時く真っ白ですが、しっぽは1本しかありません。 モロよりも若いこともあって性格は活発で荒々しく、気に食わない相手にはすぐに「噛み砕いてやる」と言うようなことがあります。 アシタカの乗っているカモシカのヤックルと最初に会ったときも食べそうになって、サンから「食べちゃダメ」と釘を刺されました。このあとヤックルとは仲良くなったようで、映画の終盤では鼻をすり合わせる場面も見られます。

【ネタバレ注意】宿敵・エボシ御前を憎んでいるのはなぜ?

『もののけ姫』

エボシ御前が率いるタタラ集団は、鉄や銃を作るために山を切り開こうとしており、シシ神の森を守るモロの宿敵です。さらにエボシ御前に撃たれた銃弾から出る毒で身体が弱っていることも、彼女に対するモロの憎しみを一層激しいものにしています。 その激しさは「(エボシ御前の)頭をかみ砕く瞬間を夢見ながら」エボシ御前がやってくるのを待っている、とアシタカに打ち明けたほどです。 エボシ御前を倒すために最後の力を残していたモロですが、タタリ神になりかけた乙事主からサンを救い出して力尽き、倒れてしまいます。 しかしエボシ御前がシシ神の首を石火矢で切り取ると、執念の力でモロの首が動き出してエボシ御前の右腕を食いちぎりました。

【ネタバレ注意】乙事主とは分かり合えない関係だった

『もののけ姫』

乙事主は、冒頭でアシタカに倒されたナゴの守の仇を討つために鎮西(九州)から猪神の大群を引き連れてきた猪神の長です。 モロは乙事主のことを以前から知っていたようで、乙事主と対面したときに「少しは話のわかるやつ」が出てきた、と言っています。 モロの声優を務めた美輪明宏に宮崎駿から語られた裏設定では、その昔モロと乙事主は仲が良かったそうです。 しかしモロはイノシシたちに森を食い荒らされることを快く思っていないため、映画では猪神たちとの関係は良くありません。数に物を言わせて正面攻撃で人間を圧倒しようとする乙事主の戦法にも反対で、「数だけでは人間の石火矢には勝てぬぞ」と忠告しています。 モロは映画の終盤で、タタリ神になりかけた乙事主からサンを救い、力尽きて死ぬことになります。

モロの君は放った名言「黙れ小僧!お前にサンが救えるか?」

『もののけ姫』

モロの「黙れ小僧!」という名言は、映画の公開当時から大流行になりました。この名言はモロがアシタカに対して放った言葉で、可愛い娘であるサンをアシタカが救うことができるのかと問い詰めています。 サンをタタラの民から救ったときに受けた傷が回復する間、アシタカはモロのねぐらの石室で何日も寝ていました。ようやく目を覚まして石室の外に出てきたアシタカは、屋根の上にいたモロと対峙します。 サンは犬神の一族の娘として森が死ぬときはともに亡びる、と言うモロに、アシタカは「あの子を解き放て!あの子は人間だぞ!」と叫びました。 そのアシタカを「黙れ小僧!お前にあの娘の不幸が癒せるのか?」とモロは一喝。「人間にもなれず山犬にもなりきれぬ」サンを救うことがアシタカにできるか、と言うのです。 これに対してアシタカは戸惑いながらも「(サンと)ともに生きることはできる」と答えています。

モデルとなった神様は?ヤマトタケルを導いた存在

モロのモデルと言われているのは、埼玉県秩父市にある三峰神社で「おいぬさま」として崇められているニホンオオカミです。 ニホンオオカミを守護神とする三峰神社の境内には、狛犬の代わりにオオカミの像が置かれています。この神社でオオカミを崇拝するようになった由来は、神話にまで遡ります。 東征中のヤマトタケルが現在の三峯神社のある山に登って、イザナギとイザナミの国造りを偲んで創建したと伝えられる三峰神社。その地にヤマトタケルを導いたのが、オオカミだったそうです。 時代は下って江戸時代。三峰神社では周辺に生息していたニホンオオカミを、イノシシなどから農作物を守る神のつかいである「おいぬさま」として崇めるようになりました。

声優を務めたのは美輪明宏

モロの声優を務めたのは歌手、俳優、演出家、タレントなどとして活躍する美輪明宏です。 最初モロのキャラの設定を知らなかった美輪は、モロを崇高な神様として演じていました。しかし宮崎駿監督から、前述したような脚本にはない裏設定を教えられると、すぐに柔らかみのある声の演技に変えたそうです。 ちなみに美輪は『もののけ姫』が縁となって、のちにジブリ映画の『ハウルの動く城』(2004年)に荒れ地の魔女役の声で出演することになります。

『もののけ姫』モロの君は心優しい母山犬!知れば知るほど好きになる

この記事では『もののけ姫』の犬神・モロについて、ほかのキャラとの関係や死因から、モデルとなった神様まで解説しました。 モロはシシ神の森を守るため人間と敵対することもありますが、サンやアシタカを気づかう優しさも見せています。モロの内面には、セリフの字面だけではわからない、大きな温かい心が隠されているのです。 そんな彼女に思いを馳せながら、あらためて『もののけ姫』を鑑賞してはいかがでしょうか。