2025年11月15日更新

『もののけ姫』主題歌の歌詞の意味や歌手・米良美一に迫る!映画の名曲を挿入歌まで徹底解説

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もののけ姫

2025年10月にはIMAX版も上映されたジブリの名作『もののけ姫』。米良美一が歌う主題歌をはじめ、心揺さぶる名曲揃いの作品としても知られています。 この記事では、主題歌「もののけ姫」の歌詞やテーマの考察、さらに名シーンを彩った「アシタカせっ記」や「アシタカとサン」などの挿入歌まで徹底解説します! ※この記事は『もののけ姫』のネタバレを含みます。

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「もののけ姫(曲)」は映画の主題歌!いつ流れる?

『もののけ姫』

エンドロールで流れる主題歌「もののけ姫」は有名ですが、実は劇中でも登場しています。 夜中にアシタカが手のアザがうずいて目覚め、眠るサンを眺めるシーンからです。1人外に出たアシタカを待っていたのは、モロの君。そしてあの名言「黙れ小僧!」が登場するのです。モロの君とアシタカのやり取りの後ろでも「もののけ姫」が流れていました。 また、ボーカルなしの「もののけ姫(インストゥルメンタル・バージョン)」は、サンがアシタカに干し肉を渡すシーンで登場しています。

主題歌「もののけ姫(曲)」の歌詞の意味を徹底考察!

『もののけ姫』

アシタカがサンに向けて歌った曲

2001年に発売されたDVD『「もののけ姫」はこうして生まれた。』では、主題歌「もののけ姫」のレコーディングの様子が残されています。その中で、歌唱を務めた米良美一に対して、宮崎駿監督が「アシタカのサンの気持ちを歌っている歌詞」だと説明しているのです。 また、この曲は当初久石譲の娘・麻衣の歌唱で収録していたものの「(アシタカの歌だから)女性が歌う歌じゃない」と考えた監督が米良美一の声を耳にして、抜てきした経緯もありました。 アシタカの心を歌った歌詞であるならば、「おまえ」=葛藤する自分(アシタカ)に向けて、「そなた」=サンに向けて歌っているのではないでしょうか。

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ラストの歌詞に秘められた『もののけ姫』のテーマとは

『もののけ姫』

ラストの歌詞は「悲しみと怒りにひそむまことの心を知るは森の精 もののけ達だけもののけ達だけ」です。 アシタカを蝕むタタリ神は、恐怖や悲しみ、そして憎しみといった人間の心の闇そのもの。一方、サンも人間への憎悪を抱き、最後までそれを捨て去ることはできませんでした。 人は、互いの悲しみや怒りを完全には分かち合えないかもしれません。そして、サンの奥にある「まことの心」を知るのは「もののけ達だけ」なのでしょう。 だからこそ、アシタカはすべてを理解し合うのではなく、分かり合えない部分を抱えたままでも、受け入れたり反発したりしながら「共に生きていく」道を選んだのではないでしょうか。

主題歌「もののけ姫(曲)」の2番に歌詞がない理由とは

『もののけ姫』

主題歌「もののけ姫」には、実は2番の歌詞が存在しません。1997年の「キネマ旬報」のインタビューにて、米良美一は「短い詩なんですよ。ところが(宮崎駿)監督は1番しか書けないとおっしゃる。この歌は1番で完結しちゃっているんですね」と、2番がない理由を語っています。 驚きの理由ですが、歌詞のない2番のパートがあるおかげで、神々しい自然や人間たちの儚さといった「言葉にできないもの」を訴えかける音楽となっており、それがかえって曲の奥深さや余韻を際立たせているのではないでしょうか。

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主題歌「もののけ姫(曲)」を歌う米良美一とは?

米良美一

米良美一は、男性が女声の声域を歌う「カウンターテナー歌手」です。先天性骨形成不全症の難病と向き合いながら、歌手として長年第一線で活躍しています。 1997年、26歳のときに映画『もののけ姫』の主題歌でブレイクし、1998年には日本アカデミー賞主題歌賞を受賞。同年の長野パラリンピック開会式でも歌唱しました。 2014年末には、くも膜下出血で緊急入院したものの、懸命のリハビリにより翌年9月に復帰。近年も本業の歌手活動はもちろんのこと、「全日本こどもの歌コンクール」の審査員や『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』(2022)の声優など、さまざまなジャンルで活躍中です。

映画『もののけ姫』は挿入歌も名曲ばかり

アシタカせっ記

オープニングで流れた曲は「アシタカせっ記」です。 「むかし、この国は深い森におおわれ、そこには太古からの神々がすんでいた。」という言葉とともに、霧をまとった山々が登場しました。そして、タタリ神になったナゴの守が這う様子が描かれます。 壮大なスケールで描かれる、『もののけ姫』という作品の幕開けにふさわしい美しいメロディー。そして、オーケストラによる演奏でありながら、日本の古き良き原風景が想像できる、久石譲マジックが詰まった一曲です。

アシタカとサン

感動的なラストシーンで流れるのが、「アシタカとサン」です。 物語のクライマックス、アシタカとサンがシシガミ様に首を返したことで、荒れ果てた大地には新たな生命となる草花が芽生え始めます。そして、アシタカはたたら場で、サンは森で、2人は別々の道を選びながらも、「共に生きる」という決断を下しました。 「アシタカとサン」は、命の尊さや生きる希望を強く感じさせてくれます。ジブリ作品の楽曲の中でもNo.1に挙げるファンが多い名曲です。

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『もののけ姫』主題歌や挿入歌は名曲揃い!米良美一の美声にも注目

『もののけ姫』

『もののけ姫』を彩る主題歌や挿入歌の数々を紹介しました! 主題歌「もののけ姫」は、宮崎駿監督が「アシタカのサンに対する想い」をつづった歌詞に、米良美一の美しい歌声が命を吹き込んだ、特別な一曲です。 どのシーンでどの音楽が流れ、宮崎監督がどのような意図を込めたのか。本記事で触れた「歌」の背景にも注目して、『もののけ姫』を改めて視聴してみてはいかがでしょうか。