『もののけ姫』声優キャスト一覧!一人二役で声を演じていた俳優とは?
『もののけ姫』声優一覧表
アシタカ役/松田洋治
アシタカは村を守ろうとする正義感を持った主人公。エミシ一族の若者で、王となるべく育てられました。タタリ神にかけられた、右腕の呪いの痣に翻弄されます。 松田洋治がアシタカの声を演じました。松田は子役として幼い頃から『仮面ライダーアマゾン』(1974年〜1975年)や大河ドラマ『徳川家康』(1983年)、『北条時宗』(2001年)などで活躍し、多くの作品に出演。 声の仕事としては『風の谷のナウシカ』(1984年)でもアスベルを演じており、1997年の映画『タイタニック』ではレオナルド・ディカプリオ演じる主人公のジャック・ドーソン役の吹き替えを務め、知名度を上げました。
サン役・カヤ役/石田ゆり子
サンは山犬に育てられた少女で、自然を荒らすたたら場の人間に怒りを抱いています。
カヤ
カヤはアシタカの故郷・エミシの村の娘で、一族が選んだアシタカの許嫁です。 カヤはアシタカが追われるように村を出ていくときに、ただひとり見送りに来て彼に小刀を贈りました。この小刀は後にアシタカがサンに贈ることになります。 サンとカヤの声を担当したのは、石田ゆり子です。2人の強い結びつきは、同じ女優が演じていることからも暗示されていると言えます。 石田は同じスタジオジブリ作品である『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)でもおキヨ役を務めました。2016年には、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』に出演し、再ブレイク。その後、『記憶にございません』や『マチネの終わりに』(ともに2019年)、「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」シリーズやなどに立て続けに出演しています。 石田ゆり子はその雰囲気からおっとりしたイメージがありますが、本作では少女カヤの純粋さと、もののけ姫として生きるサンの力強さを見事に演じ分けました。
エボシ御前役/田中裕子
美しい顔立ちからは想像もできないほどの無情さも持っているエボシ御前。しかしその残酷さは自分の治める地域の人々を守るためであり、タタラ場の人々からはとても愛されています。 エボシ御前を演じたのは田中裕子。1983年の連続テレビ小説『おしん』で主役を演じ、世界的に知名度を高めました。多くの映画賞を受賞した彼女は、2019年の連続テレビ小説『なつぞら』にもなつが通う産婦人科医の高橋秀子役で出演。2023年公開の是枝裕和監督作『怪物』にも出演しています。 また田中はスタジオジブリの『ゲド戦記』(2006年)にクモ役で声の出演をしています。
ジコ坊役/小林薫
ジコ坊は不老不死の力があるとされるシシ神の首を狙う「師匠連」の一員です。 ジコ坊を演じたのは、小林薫。彼は「ナニワ金融道」シリーズや、「Dr.コトー診療所」シリーズなどの人気作品に多数出演しています。2009年から主演を務めた「深夜食堂」は人気シリーズとなりました。また、テレビ東京のドキュメンタリー番組『美の巨人たち』ではナレーションを務めるなど、幅広く活躍。 本作以外のスタジオジブリ作品では『ゲド戦記』に国王役で出演しています。
モロの君役/美輪明宏
モロの君は300歳の犬神。人間から恐れられていますが、人間に捨てられたサンを娘として育てました。 歌手で俳優の美輪明宏がモロの君を演じました。その独特な声でモロの君の神々しさを演出しており、『もののけ姫』の物語を引き立てています。 俳優として、舞台『毛皮のマリー』や『黒蜥蜴』、『愛の讃歌 エディット・ピアフ物語』などに出演し、何度も再演している美輪明宏。『国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉』(2005年〜2009年)や『ありえへん∞世界』(2010年〜)などのバラエティ番組への出演でも知られています。 声優としてもいくつかの作品に出演しており、2004年のスタジオジブリ作品『ハウルの動く城』では、荒れ地の魔女役などを務めています。
山犬役/渡辺哲
モロの君には自分で産んだ子どもの山犬が2頭います。モロと同じく人間の言葉を理解し、サンを背中に乗せて人間と戦います。 山犬役の声を演じたのは渡辺哲です。男らしい剛健な顔立ちの渡辺は、1980年代から多数のTVドラマや映画においてヤクザ役、刑事役、頑固おやじ役などで演技派俳優として活躍。 近年では、ドラマ『ネメシス』(2021年)や『ラストマン-全盲の捜査官-』(2023年)などに出演し、出番は少ないながらも強い印象を残しています。
乙事主役・エミシの老人役/森繁久彌
乙事主(おっことぬし)は物語終盤でタタリ神へと変貌してしまう、巨大な白い猪神です。 その声を担当した森繁久彌は、NHKアナウンサーを経て、歌手・俳優として活躍。1956年から1970年にかけては、映画「社長シリーズ」や「駅前シリーズ」で主演を務め、国民的な人気を獲得しました。 本作では、乙事主のほかにエミシの老人役も兼任しています。 森繁は、2009年に96歳でこの世を去るまで、『さよならジュピター』(1984年)や『四十七人の刺客』(1994年)など、多数の作品に出演。1991年には大衆芸能分野で初の文化勲章を受章するなど、多数の栄典・称号を得ました。死後には国民栄誉賞を受賞しています。
ゴンザ役/上條恒彦
ゴンザはエボシの側近で、短気な性格。牛飼いやエボシの護衛を取りまとめています。 ゴンザを演じたのは、上條恒彦です。「3年B組金八先生」の社会教師・服部肇役で知られている上條は、俳優や歌手として活動。ディズニーアニメ映画『リトル・マーメイド』(1991年)ではセバスチャン役を演じました。 ジブリ作品では、本作のほかに『紅の豚』(1992年)のマンマユート・ボス 役や『千と千尋の神隠し』(2001年)の千尋の父役などを務めています。
トキ役・エミシの少女A役/島本須美
おトキ
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) August 5, 2016
格好良くて男より男らしい、素敵な女性トキの声を演じるのは島本須美さん。
皆さんご存知、「風の谷のナウシカ」のナウシカ役を演じた方なんです!☞続く#おトキ #島本須美 #ナウシカ #コダマをよぼう #夏はジブリ pic.twitter.com/ssf1P2tdtZ
トキはタタラ踏みのまとめ役で、愛情たっぷりの勝気な女性です。 声優やナレーターとして幅広く活動する、島本須美がトキを演じました。 『風の谷のナウシカ』(1984年)では主人公ナウシカの声を担当し、『となりのトトロ』(1988年)ではサツキの母親役を務めるなど、複数のジブリ作品に参加。 島本は『ルパン三世 カリオストロの城』のヒロインであるクラリスや「それいけ!アンパンマン」のしょくぱんまんなどのキャラクターを担当しています。また、洋画の吹き替えでは「スター・ウォーズ」シリーズでキャリー・フィッシャー演じるレイア・オーガナ役で知られています。 近年では、『天気の子』(2019年)の間宮夫人役や、『竜とそばかすの姫』(2021年)のすずの母役などで活躍。 島本は本作で、エミシの少女Aも演じています。
タタリ神役/佐藤允
赤黒い触手を持つかたまりのような、巨大な怪物タタリ神は、シシ神が怒りや悲しみ、憎しみといった負の感情を爆発させた「荒ぶる神」です。強い瘴気を発し、動くだけで足元の植物は枯れ、木々を腐らせるなど、呪いと死を撒き散らす厄災と化しています。 タタリ神の声を担当したのは、俳優の佐藤允。日本人離れしたアクの強い顔立ちの彼は、若い頃には凶悪犯やチンピラの役を多く演じました。岡本喜八監督の「愚連隊」シリーズや『うなぎ』(1997年)などに出演しています。
甲六役/西村雅彦
タタラ場の牛飼いのひとりである甲六は、山犬に襲われて谷へ転落し、アシタカに助けられました。おっちょこちょいの彼はタタラ場の女たちをまとめるトキの夫で、しっかりもののトキに頭があがりません。 甲六役の声を演じた西村雅彦(現・西村まさ彦)は個性的な脇役としてテレビや映画で1990年代から活躍する俳優です。ドラマ『振り返れば奴がいる』(1993年)で注目を集めた彼は、「古畑任三郎」シリーズをはじめ、数多くの三谷幸喜作品に出演しています。 ジブリ映画では『風立ちぬ』(2013年)に黒川役で声の出演を果たしています。
ヒイさま役/森光子
ヒイ様はエミシを取りまとめており、石や木片を用いて吉凶を占う巫女。 「日本のお母さん」として親しまれていた森光子がヒイ様を演じました。1970年から1989年に放送された「時間ですよ」シリーズで国民的な人気を獲得。舞台『放浪記』では、1961年の初演から2009年まで主演を務め、前人未到の上演2017回を記録。同年、女優として初めて国民栄誉賞を授与されました。 数々の作品に女優として出演してきた森ですが、アニメへの出演は本作と『ブラザー・ベア』の2作のみです。 女優・タレントとして多くの人に愛された森光子は、2012年に93歳でこの世を去りました。
病者の長(じいじ)役/飯沼慧
病者の長は、エボシ御前によってタタラ場で保護されている、ある病気を患った人たちの長老です。頭や手足に包帯を巻いており、同じ病気の人々のなかでも最も症状が重く、寝たきりになっています。 病者の長を演じたのは、「大岡越前」シリーズや「水戸黄門」シリーズなど、時代劇に多数出演した飯沼慧です。彼は『ゲド戦記』にも出演しており、ルート役を務めています。 2011年に他界し、2012年に公開された映画『テルマエ・ロマエ』が遺作となりました。
キヨ役/香月弥生
キヨはタタラ場の女衆の1人で、タタラ場を去ろうとしたアシタカを襲い、彼に瀕死の重傷を負わせました。 そんなキヨを演じたのは、劇団文学座、劇団四季を経て、声優・俳優として活動する香月弥生です。ジブリ作品では、本作のほかに『猫の恩返し』(2002年)と『ハウルの動く城』に出演しています。
猩々・牛飼いの長役/名古屋章
猩々と呼ばれる猿神は、ニホンザルより大型の霊長類です。濃い灰色の体毛と赤く光る目が不気味な彼らは、森を奪った人間を憎んでいます。 猩々の声を担当したのは、名古屋章です。声優として数多くの作品に出演し、『ひょっこりひょうたん島』(1991年〜2003年)の2代目ドン・ガバチョ役や「トイ・ストーリー」シリーズのMr.ポテトヘッド役などで知られています。本作では、牛飼いの長役も兼任。 2003年、肺炎のため72歳でこの世を去りました。
ジバシリ役/冷泉公裕
ジコ坊に雇われた山の狩人であるジバシリ。山に詳しい彼らは、イノシシの皮を剝いでかぶり、身体にイノシシの血を塗って人のにおいを消して獣に近づくという、特殊な技能を持っています。 そんなジバシリの声を担当したのは、冷泉公裕。劇団文学座での舞台活動と並行してテレビや映画にも幅広く出演していた彼は、刑事ドラマ『Gメン’75』(1975年〜1982年)ではヤクザや強盗役で何度も出演してます。 2019年に、心不全でこの世を去りました。
『もののけ姫』英語版の吹き替え声優一覧
ここからは『もののけ姫』の英語版で吹き替え声優を担当したキャストを一挙に紹介していきます。
アシタカ役/ビリー・クラダップ
アメリカ人俳優のビリー・クラダップが英語版でアシタカを演じました。 ビリー・クラダップは2009年の映画『ウォッチメン』のDr.マンハッタンや、2017年の映画『エイリアン:コヴェナント』で副長のクリス・オラムを演じています。
サン・カヤ役/クレア・デインズ
英語版でサンを演じたのは、クレア・デインズ。 1994年の『アンジェラ 15歳の日々』の主人公アンジェラ・チョイス役でゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞。一躍脚光を浴びた彼女は、1996年の『ロミオ+ジュリエット』でレオナルド・ディカプリオと共演し、さらに人気を高めました。 2011年から2020年には、テレビシリーズ『HOMELAND』で主演を務めています。
エボシ御前/ミニー・ドライヴァー
英語版でエボシ御前を演じたミニー・ドライヴァーは、イギリス人の女優で歌手。1997年の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、注目を集めました。 1999年のディズニーアニメ『ターザン』では、ヒロインのジェーン・ポーター役を演じています。
ゴンザ/ジョン・ディマジオ
英語版でゴンザを演じたのは、アメリカの声優ジョン・ディマジオ。『ファイナルファンタジーXII』のギルガメッシュ役など多数出演しており、『平成狸合戦ぽんぽこ』では竜太郎狐を演じています。
ジコ坊/ビリー・ボブ・ソーントン
英語版吹き替えでジコ坊を演じたのは、映画監督でもあるアメリカの俳優ビリー・ボブ・ソーントン。アメリカのテレビドラマ『FARGO/ファーゴ』のシーズン1で主演を務め、ゴールデングローブ賞テレビドラマ部門男優賞を受賞しました。 「シュレック」シリーズのスピンオフである、2011年の『長ぐつをはいた猫』ではジャックの声を務めています。
トキ/ジェイダ・ピンケット=スミス
英語版でトキを演じたのは、アメリカ人女優のジェイダ・ピンケット=スミスです。「マトリックス」シリーズのナイオビ役として知られており、「マダガスカル」シリーズではカバのグロリア役で声の出演をしています。 プライベートでは俳優のウィル・スミスの妻であり、2人の子供を出産しています。
甲六/ジョン・デミータ
英語版で甲六役の声を演じたのは、アメリカの声優・俳優であるジョン・デミータです。デミータはアニメシリーズ「NARUTO -ナルト-」のドス・キヌタ、日向ヒアシや日向ヒザシの英語の声で知られています。 デミータは声優ばかりでなく実写映画やテレビの俳優としても活躍しています。特にドラマ『犯罪捜査官ネイビーファイル』にはクリフォード・ブレイクリー役で14のエピソードに出演していました。
モロの君/ジリアン・アンダーソン
英語版でモロの君を演じたのは、アメリカ人女優のジリアン・アンダーソン。日本では「X-ファイル」シリーズのFBI捜査官ダナ・スカリー役として知られています。2020年には、Netflixオリジナルドラマ『ザ・クラウン』でマーガレット・サッチャーを演じました。 またジリアン・アンダーソン自身は、『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』好きを公言しています。
山犬/ジョン・ディマジオ
英語版で山犬役の声を演じるのは、ゴンザ役と同じく、ジョン・ディマジオです。 ディマジオはアメリカのTVアニメ『フューチュラマ』に登場する性格の悪いロボット・ベンダーの声で知られるようになりました。 劇場用長編映画では「トランスフォーマー」シリーズのクロスヘアーズ役や「マダガスカル」シリーズのペンギン・リコ役の声が有名です。
乙事主/キース・デイヴィッド
英語版で演じたのは、アメリカの俳優キース・デイヴィッド。1982年の『遊星からの物体X』のチャイルズ役でデビューし、声の出演も含め多くの作品に出演しています。
ヒイさま/デビ・デリーベリー
英語版でヒイ様を演じたのは、アメリカの声優のデビ・デリーベリー。アニメやゲームなど多くの作品に声の出演をしています。
『もののけ姫』の声優陣にも注目!
『もののけ姫』では、有名な俳優陣が声優として活躍しました。大御所俳優である美輪明宏や森繁久彌、森光子なども出演していたとは驚きですね! 深いテーマをもち、高い人気を誇る『もののけ姫』ですが、豪華メンバーの声の演技にも注目してみてください。
コミック版『もののけ姫』を